2018年05月16日
こんにちは。
夏が、というか、梅雨がすぐそこまできています かわさき屋店主 川﨑です。
かわさき屋、情報を大切にしています。そのなかの一つが、宮崎県の切干大根生産量です。全国で一定以上の収穫量がある作物だと、農水省が統計を取っているのですが、切干大根、残念ながらその統計から外れる作物です。幸いなことに、宮崎県が、毎年の生産面積と生産量の統計を取っているため、うちとしてはそれを参考に色々な戦略を構築しています。
データは一年遅れで統計が出ているので、今回、新規でとれたものは、平成28年度のものです。過去三年のデータは以下の通り。
平成26年度 生産面積 462ha 生産量 1776t
平成27年度 生産面積 404ha 生産量 1764t
平成28年度 生産面積 397ha 生産量 2249t
昨年度、実は、過去類を見ない大豊作の年でした。過去のデータから、10a あたりの収穫量、500㎏を超えると豊作、400㎏台は不作、300㎏台は凶作かなー、って感じで考えています。そう考えると、昨年は564㎏/10a と、過去5年間で圧倒的に収穫量が高い年というデータがでました。正直、1500~1600tくらいじゃないかなと思っていましたので、非常に意外な結果でした。原因としては色々あると思いますが、詳しく書くときりがないので、興味がある方、個別にお答えいたします!!
私が近年、最も懸念している事項が、10a あたりの収穫量が振るわなかったことよりも、生産面積の減少です。一昨年と比較すると、10%以上生産面積が減少しています。その原因は、生産者の高齢化、そして、農業が稼げない業種になっていること。そして、農業が非常にきつい仕事であることに起因しているのではないかと推察しています。
しかし、ここにきて光明も見えてきていると感じています。生産者の減少により、収穫面積の絶対数が減っているのは、切干大根だけではないと思います。そうなると、当然傾向として収穫量も減少します。そうすると、農作物は相場で動きますので、供給量が少なくなれば自ずと、需給バランスから価格も上昇してきます。切干大根のみで見ると、現在の価格水準は、十分再生産可能なラインに来ています。私の実感だと、このままいけば、農家の戸数、向こう20年で壊滅的な状況まで減少すると思います。しかし、生産者価格が上昇して、農業が、大変な仕事なりの収入を得られるようになれば、後継者が増えたり、農業生産法人が増えたりするんじゃないでしょうか。そうなってくれれば、将来、日本の農業・日本の食、ギリギリのところで踏みとどまれるんじゃないかと期待しています。
消費者からすると、食品の値上げ、たまったもんじゃないことは十分理解できます。しかし、生産者の生活を犠牲にした、安全・安心・安価な食品の供給についても、一つ考え直してもらいたいと感じています。
私の祖父母、宮崎県西都市で、ハウスでなすを作る傍ら、牛の繁殖農家を営んでいました(現在は私の叔父にあたる人が後継者です)。ハウス農家に休みはありません。一日休むと、なすが大きくなりすぎて、出荷できなくなってしまうからです。牛も生き物なんで、毎日餌などの世話が必要です。私は福岡県で結婚式を挙げたのですが、農作業があるからと、祖父母は結婚式に参列できませんでした。最近、祖父も祖母も鬼籍に入ってしまいました。その葬儀の時も、叔父は、当然のように牛の世話をやった後、喪主として参列していました。
そういった、日常生活、非日常生活を犠牲にしながら、生産者は日々、農業に取り組んでいます。その生産現場の状況を、どうか皆様ご理解いただきたいと思います。
私どもかわさき屋も、微力ではございますが、生産者と小売りの現場の橋渡しをしながら、生産者の努力や情熱をお伝えしていきたいと思っています。そして、消費者の皆様の満足と同時に、生産者の満足も合わせて得られるよう、今後も取り組んでまいりたいと思います。