店主の日記
  • 大根と切干大根の価格について

    こんにちは。

    寒い冬と北風が恋しい今日この頃 かわさき屋店主 川﨑です。

    さて、標記の件について。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151207-00000006-kobenext-l28

    こんなニュースが流れています。大根が豊作すぎて、価格が大暴落してしまっているとのニュース。かいつまんでお話しすると、11月、異常なほど温度が上がり、降雨量も多かった。そのため、大根が大きくなり過ぎ、豊作貧乏になってしまいましたというお話です。なんと、10月から2か月で相場がなんと半分になってしまっているとのこと。通常の工業製品や、原油・株価・為替などの相場だと、1割2割の変動で大ニュースになりますが、農作物の相場、1割2割の変動は誤差範囲。倍半分なんてのも当たり前にある世界です。

    さて、宮崎も秋冬大根、まずまずの出来です。大きくなりすぎている傾向こそあれ、千切りにしてしまえばそんなん問題になりません。一つ問題があるとすれば、雨が多かったため、大根中心部に空洞ができ、そこが傷んでしまっていることくらいです。そういったものは、生産者が泣く泣く廃棄して、素晴らしい切干大根に加工してくれます。

    という状況の中、切り干し大根も安くなってるんじゃないの?と思われるかもしれません。ところが、切干大根、今年はあり得ないほど高騰しています。具体的には昨年比3割増し。例年比10割増くらい。

    ここから、私の主観がバリバリ入った原因の考察。原因は2点

    1.切干大根取扱業者の在庫不足

    前期の切干大根、かなりの不作でした。そのため、早い業者は8月で在庫切れを起こした模様です。かわさき屋は何とか今月くらいまでは持ちましたが、実際ギリギリでした。弊社と同様の業者も多々あるかと思いますので、それらの業者間で、新物の取り合いになっているのが現状です。

    2.天候不順

    11月から引き続き、12月も暖かいそして雨が多い。切り干し大根は、冷たく乾いた西風が吹かないと乾きません。そして、温度が高いと茶色く変色してしまいます。となると、生産者も切り干し大根の乾燥に入れず、生産ができない。というわけで、需給バランスは崩れたままです。

    なお、晴れ間が続き、温度が下がり、風が吹く日が続けば、昨年並みの相場には安定するんじゃないかなーと期待しています。あとはお天道さんに祈るのみです!!というわけで、消費者各位、小売店各位には、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

     


    4年目を迎えるにあたって

    こんにちは

    気持ちを新たに頑張ります かわさき屋店主 川﨑です。

    2012年9月3日、かわさき屋を法人登記してはや丸3年がたちました。本日から4年目に入ります。1年目で苦労して、2年目で苦労が実り、3年目は飛躍の年にと臨んだ前年度でしたが、相場の高騰という、対策を打っていなかった想定外の事態が起こりました。それに伴う様々な事態に対応することに追われ、試練の3年目になったというのが正直なところです。

    それと同時に、かわさき屋の立ち位置、そして、これからの役割について考察しなおした一年にもなりました。自社の強みを改めて見直し、どういった価値をお客様に提案できるか。そして、すさまじい速度で進む生産者の高齢化および後継者不在の生産現場。そこに、かわさき屋としてどういったアプローチをしていくべきなのか。また、弊社が主たるターゲットに設定している顧客層にどうアプローチしていくか。課題が見えてきた一年でもありました。

    そういった中で具体化している取り組みが、生産者様との、長期的に買い取り価格を固定化した契約栽培や、COOKPADを利用したレシピ提案です。

    前者は、どんなに安い相場でも、生産者が安定的に収益を得ることができるように。逆に、どんなに相場が高くても、消費者の皆様に安定的な供給ができるように願った取り組みです。後継者不足の主要因は、相場の影響で、生産者が安定的な収益をあげれないことが一番の原因であると考えています。こういった取り組みの末に、弊社生産農家様方のお子様たちが、『俺も農業やろう!!』と志してくれたなら、こんなにうれしいことはありません。

    また、後者は、切り干し大根にあまりなじみがない、20~40代女性層に対する直接的なアプローチとして始めました。開始2か月、お陰様で、一日のアクセス数は2,000に迫るくらいまで伸びてきています。若い方々に切り干し大根になじんでいただけるよう、これからも取り組んでいきたいと思っています。

    新たに始まる一年。実りある、希望がある、成長がある一年にするべく努力していく所存でございます。これからも、かわさき屋ならびにかわさき屋の商品をご愛顧賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。


    店主川﨑 大いに語る その4

    こんにちは

    真面目な話の合間にある大相撲の記事に違和感を感じないでほしい かわさき屋店主 川﨑です。

    地域間格差の話があります。東京を中心とした関東圏と、各地方の中心都市は人口が増えていますが、地方は人口減少が続いています。その2でも話しましたが、地方での稼ぐ機会の少なさが、この傾向を生んでいるのではないかと私は考えています。今話題の草食系男子だったらよいとは思うのですが、ガツガツした人間ほど、そして、商才のある人間ほど都市部に出て行ってしまいます。

    しかし、私思うんです。地方のほうが稼ぎやすいんじゃないでようか。

    商才のある人間がひしめき合っている東京で勝負するよりも、比較的競争力の弱い地方で頂点をとるほうが何倍も楽な気がします。逆に考えて、地方で成功できない人間は、東京で成功できるわけがないんですよね。それに、地方には都市部にはない経営資源がたくさん眠っています。宮崎はそれこそ食。たとえばですが、天日干し切り干し大根は、宮崎県以外では生産できません。調達コストや固定費コストなんかを考えると、もうもろに宮崎以外の地域は太刀打ちできません。小さな商圏でビックシェアをとることが至上命題となる小規模事業者にとっては、理想的な商材といえるのではないでしょうか。

    きっと、工業製品にしても、工芸品にしても、その地域でしかできない商材というのはたくさんあると思います。それを如何にして掘り起し、県外から外貨を稼ぎ、そして地域を豊かにするか。地域が豊かになれば、内需起業なんかも潤ってきますし、雇用の絶対数も増えてきます。そうすればブラックな企業は淘汰され、雇用の質も上がってくる。

    きっと、地方の発展というのは、中小企業もそうですが、若手起業家を如何に地方に呼び込むかも重要なポイントになるでしょうね。そのモデルとなれるよう、これからも精進していきたいと思います。


    店主川﨑 大いに語る その3

    こんにちは

    梅雨明けの意味が解らなくなってきました かわさき屋店主 川﨑です。

    さて、いつまで続くかわからないこのシリーズも3回目になりました。地方の雇用の現状からのアプローチを先日書きましたが、今回は地方の農業の現状から書いてみたいと思います。

    宮崎県の農業産出額は日本トップクラスです。では、生産現場を見てみると、全国的に業界が抱えている問題、宮崎もやはりあります。後継者問題です。弊社は使用する切り干し大根のおよそ9割を直接生産者様から購入しています(残り1割はセリや他業者様、農協様から購入)。金額ベースで考えると、弊社購入額のおよそ7割は60歳以上の、後継者がいない生産者です。皆様から話を聞くと、苦労の割に所得が少なく、とても子供に跡を継いでほしいとは言えないとおっしゃる方多いです。

    生産者の皆様も、多くの方がこだわりをもって生産されています。使用する土地や資材、天候やそれに合わせた作業など、意外と農業、綿密な計画のもと行われています。先日ご一緒させていただいた、卸売業者の社長との話の中で、私たちの使命とはなんぞやという内容になりました。製造者や卸売業者、小売業者などの中間業者は、生産者の想いをいかに消費者に届けるかが使命なんじゃないかと。ただ、流通を担うだけでは、これからの食はより衰退してしまうのは目に見えています。農業を続ける価値がある金額で、高品質な原料を生産者から購入する。商品の価値を正しく伝え、卸売業者・小売業者に適切な価格で購入・販売していただく。そして、消費者の皆様にも、商品の価値を理解していただき、適切な価格で購入していただく。そういったサイクルを作ること事こそが私どもの使命ではないかと思います。

    むこう十年で、日本の農業・食の環境は大きく変わることは間違いありません。その変化をより良いものにできるかどうかは、私どものような中間業者の働きにかかっていることを肝に銘じながら、皆様に商品をお届けしたいと思います。


    店主川﨑 大いに語る その2

    こんにちは

    連休の疲れが抜けません かわさき屋店主 川﨑です。

    私が大学を卒業するときに直面した、宮崎の社会的問題があります。働く場所が少ない。も少し詳しく言うと、将来に展望をもてる働く場所が少ない。全国の大卒平均初任給は、おおよそ20万円。それに対して、宮崎県の大卒平均初任給はおおよそ17万円。平均年収で東京と比較すると、東京582万円に対し、宮崎383万円。宮崎のパートタイマーの比率が多かったとしても、相当の開きがあります。田舎は物価が安いといいますが、スーパーに並んでいるものの価格に大差はないですし、やはり都市部と比較して生活にゆとりがないと思います。現に、宮崎北高の同級生、半数以上は県外に住んでいるみたいですし。

    しかし、宮崎のような田舎には、都市部にはない魅力が数多くあります。その中でも最たるものは、育児のしやすさだと思います。合計特殊出生率1.72と、全国2位の数値が示すように、育児環境は抜群です。待機児童なんて聞いたことないし、公園で子供を遊ばせてもクレームなんてきません。そもそも公園以外でも遊び場結構あるし、地元が宮崎だったら育児に関する親の助けも期待できますし。現に私も、夫婦共働きで親に育児を手伝ってもらいながら、3人の子供を育てています。

    問題は、その育児を支えていく所得を得る仕事が少ないことだと思います。一旦県外にでて、宮崎に戻りたいと思っても、将来設計が描けるような会社がなかなか見つからない現状があります。となると、若者は県外に出たまま戻ってこず、地方はますます衰退していく。都市部に出た若者は、子供を産めずに国全体が衰退していく。そういった悪循環ができてしまっています。

    零細企業ではありますが、人を雇っている身として、従業員に対して心がけたいことがあります。従業員が、将来設計ができるような雇用形態を構築すること。それを従業員に対して約束すること。

    『今の売り上げだとこれだけしか給与払えないよ。でも、来季これだけ売り上げあがったらったら賞与をこれだけ支払えるし、年商規模がこれだけになったら、こういったポスト作って、年収これだけ支払えるようにするよ。だからみんなで頑張って会社もりあげていこうよ』

    といったビジョンを示すことで、従業員に希望をもって仕事に臨んでもらいたいと思います。また、将来の従業員が、そういった弊社の姿勢に共感してくれて、弊社で働きたいと思ってくれればそれに越したことはないです。また、弊社が成功することで、地方に良質な雇用が増えていけば、地方の発展、ひいては国の活性化にも繋がっていくんじゃないかと思っています。